白髪に縮毛矯正をかけるとチリチリになるのはなぜ?

まず、「チリチリ」には2種類あります。ひとつは施術でつくられてしまうチリチリ(いわゆるビビり毛)、もうひとつは髪質そのものがうねって出るチリチリです。原因も、対処もまったく違います。

この記事で説明するのは前者、縮毛矯正でチリチリになってしまう「ビビり毛」のほうです。髪質そのもののうねりについては別の話なので、最後に少しだけ触れます。

そしてビビり毛について先に結論を言うと──チリチリになるのは「白髪だから」ではありません。「エイジングで体力の落ちた髪に、白髪染めを繰り返してきたから」です。

チリッとした白髪が生えてくる年代は、そもそも髪全体がエイジング毛に入っている世代でもあります。白髪はそのエイジング毛の一部であって、「白髪だけが弱い」わけでも「白髪以外なら大丈夫」でもありません。

目次

白髪は、縮毛矯正にかかりにくいの?かかりやすいの?

よく「白髪は硬くて丈夫」と言われますが、施術する側の実感としては、白髪だからこう、という答えは出せません。

同じ白髪でも、髪が細い人や白髪染めを何度も繰り返している人は、薬が効きやすい(かかりやすい)。逆に、太くて癖が強い人や、まだカラーをしていないバージン毛に近い人は、薬が弾かれやすい感じがあります。

つまり判断の分かれ目は「白髪かどうか」ではなく、その髪の今までの履歴がどうかです。ここがこの記事の中心になります。

なぜ、白髪染めを繰り返した髪はチリチリになるのか

白髪染めに使うカラー剤は、薬剤としてのパワーがまあまあ強いものです。しかもそれを月に1回といったペースで繰り返す。

しかも白髪が出てくる年代の髪は、多かれ少なかれエイジング毛に入っています。若い頃より一本一本の体力が落ちているところへ、負担のかかる施術を重ねていく──これが前提にあります。

髪は死んだ細胞(死滅細胞)でできていて、一度傷むと自分で回復することがありません。健康レベルは減点方式でしかありません──増えることはなく、減っていくだけです。つまり白髪を染めるという行為そのものが、その都度ダメージを積み重ねています。

※「白髪染めのダメージ」と「明るくする脱色のダメージ」は、切り離して考えられるものではありません。一般的なアルカリカラーは、染めることと髪の色を抜くことが同時に起きる仕組みだからです。白髪染めのカラー剤は少し強めに作られていることが多く、それを繰り返すこと自体が、そのままダメージにつながります。

そうしてすでに体力を削られた髪に、今度は癖を伸ばすための薬をつけ、さらに高温のアイロンを当てる。選定やかけ方を誤れば、髪が耐えきれずにチリチリになってしまう。これがビビり毛の正体です。

チリチリ(ビビり毛)は、髪の中で何が起きた状態?

具体的には、髪の表面が薬剤に耐えきれずに荒れすぎてしまった状態や、髪の内部の結合が、元に戻れないほど壊れてしまった状態です。専門的には過還元やタンパクの著しい損傷と呼ばれます。

これは薬剤だけで起きることもあれば、アイロンの熱に耐えられずに起きることもあります。

薬剤と熱、どちらが主犯か。薬剤が強すぎれば、まず薬剤の段階で髪が傷みます。そこへ高温のアイロンが「とどめ」を刺す。逆に薬剤が適正でも、そのあとのアイロンの温度設定がその髪に合っていなければ、熱だけでダメージが出ます。どちらか一方ではなく、両方が段階的に効いてくると思ってください。

どういう髪がチリチリになりやすいか

かける前に、施術者は次のようなサインを見ています。

  • 濡らしたときに、髪がテロッと頼りなくなる
  • 引っ張って弾力を見たとき、すぐにプチッと切れる
  • 伸ばした髪を戻したときに、ヨレヨレになって元に戻らない
  • 毎月ホームカラー(市販の白髪染め)を繰り返している
  • 髪が著しく細い

特に危険度を上げるのは、ブリーチ系とホームカラーです。ハイライトや、最近流行りの「脱・白髪染め」系のメニューもブリーチ系に含まれます。これらは「白髪染め以外の履歴」というより、白髪染めの延長線上にある負担と考えたほうが実態に近いです。

逆に、白髪染めをしていても問題なくかけられる髪もあります。もともと髪に体力がある場合や、美容室で定期的に、なるべく負担をかけない方法で染めてきた場合です。ただしこれも「白髪だから/白髪以外だから」で決まるのではなく、エイジングで髪の体力がどれだけ残っているかで決まります。

チリチリになってしまった髪は、元に戻せる?

正直にお伝えします。元には戻せません。

髪は死んだ細胞なので、再生することも復活することもないからです。整えて「形をきれいっぽく見せる」ことはできても、それはずっと保てるものではありません。その場合は、最悪カットするか、ケアで髪をしっかりさせていくしかありません。

「トリートメントで直りますか?」とよく聞かれますが、ダメージそのものが治ったり、見た目が元通りになったりすることはありません。

ただ、こうしたハイダメージの髪は、水を吸い込みやすい状態(親水性)に極端に傾いています。ケアによって、その髪を擬似的に水をはじく状態(疎水性)へ戻していくことで、今起きている切れ毛やダメージの進行を抑えやすくなります。形やダメージ自体は治せませんが、今よりしっかりさせていくことは多少できます。

そしてここでいちばん大事なのが、ご自宅で使っていただくホームケアのアイテムです。それなしに今より良くしていくのは、正直かなり厳しいのが実際のところです。

チリチリを避けるために、美容師に伝えてほしいこと

縮毛矯正で失敗したくない人が、初回に必ず伝えてほしいのは次の点です。

  • カラーの履歴(他店でも、市販のホームカラーでも、安いカラー専門店でも、すべて)
  • ホームカラーの場合、どんな種類を使っているか
  • カラーの頻度
  • 過去に縮毛矯正で失敗されたことがあるか、あるならどんな失敗だったか

これを正確に伝えられるかどうかで、薬剤の選定が変わります。

逆に、お客様側が「この店は大丈夫そうか」を見分けるサインもあります。あまり他店のことは言いたくないのですが──しっかり発信をしていて、その発信に必ず「ビフォー」が載っているお店です。

ここで言うビフォーとは、単なる施術前の写真ではありません。そのお店で前回施術した髪が、時間が経って今日どういう状態で戻ってきたかを見せているものです。前回の施術から日が経っても髪が破綻していない──それを出せるお店は、髪への負担を考えて施術しているという何よりの証拠になります。

補足:髪質そのものがチリチリうねる場合

最初に触れた、もう一方のチリチリです。白髪が1本1本チリッとうねって出てくるのは、施術の失敗ではなく、エイジングによる髪質そのものの変化です。白髪はエイジング毛の一部なので、白髪染めをしていない髪でも、同じようにうねりやパサつきは出てきます。こちらはダメージ由来のビビり毛とは対処が違うので、別の記事で扱います。

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白髪染めと縮毛矯正を長く続けている髪は、履歴が一人ひとり違います。美容室I’Mでは、カウンセリングで髪の状態を確認したうえで、できること・できないことをお伝えしています。かけるかどうか迷っている段階でのご相談だけでも構いません。

この記事を書いた人:伊藤

美容室I’M(草加市栄町)オーナースタイリスト。2018〜2023年、美髪ケアの講師として全国でセミナーを担当。業界誌「ネクストリーダー」「ビューティーギャラリー」掲載。オリジナル商材を開発し、メーカーとして全国の美容室に卸しています。

美容室I’M(草加市栄町/東武スカイツリーライン 獨協大学前駅 東口 徒歩3分)
完全予約制

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